特集

季節の野菜通信 vol.7

季節の食材をより楽しむため、郡山ビューホテルの松岡シェフが連載する「季節の野菜通信」。 今月は旬の野菜「大根」についてお届けします!

新しい一年のスタート

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。新年を迎えてから早いもので、もう成人の日が過ぎました。皆様はどの様な新年を迎えましたか?初詣で今年こそは○○○に挑戦したいという気持ちを抱えている方々も多いのではないかと思います。体を動かす事や、新しい野菜作りにチャレンジしてみようとか人それぞれ思う事に違いがありますが、何かに挑戦するための原動力は「からだ」が健康であることではないでしょうか。その健康づくりの第一歩はしっかりと食べる事が大事です。

年末年始の付き合いでついつい食べ過ぎたり、飲み過ぎたり、睡眠不足だったりして「からだ」のリズムが崩れていませんか?せっかくの「やる気」スイッチも入らないのではないでしょうか。アッと言う間に一カ月は過ぎてしまいますので、今日から弱った「からだ」のためにも生活リズムを少しずつ整えていきましょう。

この時期に欠かせない「大根」

「大根」は弥生時代に中国から伝わっていたと言われていまして、当時から家庭でよく食べられていたそうです。「大根」は煮ても焼いても干しても漬けてもいいし、もちろん生でも食べられる万能な野菜として調理場でもよく使用する野菜の一つです。万能薬としても知られているように大根には食物の消化を助け、胃腸の調子を整えてくれる酵素が含まれていますが、熱に弱いと言われていますので効果を活かしたいときは、サラダや大根おろしで生のまま食べると良いと言われています。冬の身近な味覚の「大根」を味わいながら、疲れた胃腸をゆっくり整えましょう。

「季節を分ける日」や「年の分かれ目」には邪気が入りやすいと考えられ、いろいろな邪気払い行事が行われています。来月は節分の日を迎える月ですので一足先に「節分の日」にちなんだ話をさせていただきます。節分とは、本来は「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日のことをいいますが、旧暦では春から新しい年が始まっていたため、立春(2月4日)の前日の節分(2月3日)が旧暦の大晦日にあたる大事な日だったので、節分と言えば2月3日を指すようになったそうです。「節分の豆まき」って?旧歴の大晦日に平安時代から行われている宮中行事として「ついな」という邪鬼払いの儀式が中国であり、それが日本渡り現在の節分となり、炒った豆で鬼を追い払う行事になったと言われています。豆まきに使われる福豆のことを「魔減」という字が当てられることもあり、豆を炒ることで「魔目を射る」ことになり「魔減」になるという意味だそうです。

邪鬼払いをしたら次に来るのが縁起かつぎです。節分の日の縁起物と言ったら「恵方巻き」です。ルーツは関西地方で江戸時代から明治にかけて大阪の花街で節分を祝い商売繁盛を祈ったのが始まりと言われていて、名前も恵方巻きではなく「丸かぶり寿司」や「太巻き」と呼ばれていたそうで、両方とも七福にちなんで7種の具材を巻くのが基本だそうです。一本を丸かじりするのは幸福や商売繁盛の運を一気にいただくということを意味しているそうですので、途中で止めると運を逃すことになりますので、一気に一本丸ごと食べて今年一年の幸運を手に入れたいですね。少し早いですが節分の日は各家庭のルールで、楽しく家族みんなで豆まきを出来たらいいですね。鬼払いして、恵方巻きを食べて幸運を手に入れましょう。

〈豆知識〉
※ちなみに現在の2月3日は、1985年から2024年ごろまでに限られるそうで、将来は2月3日以外になる年もありそうとか?「立春」が年によって変わるため、前日の節分も変わるということです。
※1983年に大阪と兵庫のファミリーマートが販売、その後、1986年~1989年に小僧寿しが「縁起巻」として販売したがヒットせず、1998年にセブンイレブンが全国に発売したのが始まりだそうです。
松岡 正 松岡 正

郡山ビューホテル株式会社料理長 群馬県出身、1987年より前橋東急インホテルに勤務。1990年からフランスで1年間修行をつみ、1991年高崎ビューホテルへ勤務。2000年から郡山ビューホテルへ勤務し、2006年には現職に就任。フランス料理会の名誉とされる日本エスコフィエ協会ディシプルを受賞し、現在に至る。