特集

季節の野菜通信 vol.10

季節の食材をより楽しむため、郡山ビューホテルの松岡シェフが連載する「季節の野菜通信」。 今月は「夏野菜」や「そうめん」についてお届けします!

旬の夏野菜をふんだんに取り入れ、夏の味覚を楽しもう

旬の夏野菜は夏バテを防止してくれる効能があると言われています。だからこそ、暑いこの季節には夏野菜をしっかりと食べましょう。旬の夏野菜には栄養価が豊富に含まれていますので調理法で健康効果をはかり、今後の献立に夏野菜を取り入れた料理作りをしてみてはどうでしょうか。

野菜は皆さんご存知の通り、旬の時期に一番栄養価が高く、不思議にとその時期に身体に必要な栄養素が多く詰まっていて、何よりも美味しく、値段が安いのがもっと魅力的ですよね(生産者の皆様は少し頭が痛くなる値段ですが消費者からすれば、美味しい・安い・栄養満点である旬の野菜が最高ですよね)。

熱中症・食欲不振の予防対策を野菜から

急な気温の上昇に体が慣れず、汗をかきやすくなる季節です。熱中症やその症状のひとつである脱水症状に十分に注意して農作業等をしてください。水分補給のポイントとして「こまめに」「少しずつ」「適温で」「ミネラル補給」「食事をしっかりと」という5つのポイントがあります。私の職場の厨房でもこの季節になりますと、厨房内の温度が上がりますので、常備食として「梅干し」「ミネラルウォーター」等が置いてあります。

夏野菜には、水分やカリウムを豊富に含んでいるものが多く、特徴も色々あります。身体にこもった熱をクールダウンしてくれる代表的なものでトマト・きゅうり・なす等の夏野菜と食欲不振となるこの時季、カラフル野菜のビタミンは食欲を刺激しますね。カレー粉や香味野菜(ピーマン・オクラ)を料理の献立に積極的に取り入れ、夏バテ防止に備えてください。※鮮魚では値段が手ごろな「アジ」は夏から秋にかけて脂がのって美味しくなり、タンパク質・脂肪・ビタミンなどの栄養素をバランスよく含んでいますので食卓にだしてみてください。

7月7日と言えば

7月7日は皆さん誰もが知っている七夕の日です。短冊に願い事を書いて笹の葉に吊るすことや、彦星と織姫が一年に一回会える日ですよね。そんな七夕の日ですが、私は初めて知りましたが、七夕には「そうめん」を食べる由来があったのですね。

地域によってはそれぞれありますが、あまり浸透していない所もあるのではないでしょうか。ですが、昔から七夕の行事食は「そうめん」と言われているそうです。皆様の中には知っている方もいると思いますが、子どもや・お孫さんに理由を聞かれたときに簡単に分かりやすく説明できるように少しだけ紹介させていただきます。

そもそも、七夕は中国から伝えられた行事で昔から中国で食べられていたのが「さくべい」という食べ物でした。「さくべい」は小麦粉と餅粉で練った物を縄の形にして、揚げてあるお菓子です。7月7日に皇帝の子どもが無くなり、子どもの大好物だった「さくべい」をお供えとしたことから、「健康で元気に過ごせるように」と厄除けを願って「さくべい」を食べる習慣となったそうですが、どうして日本では「そうめん」なんでしょうか?
いくつかの説がありますが、一番簡単な説は食べやすくて舌触りのよい「そうめん」を食べるようになったというものだそうです。ほかには、「そうめん」を天の川に例えてとか、食欲がない人でも食べやすい織姫にあやかって女子の裁縫が上達しますようにとか、地方によって伝えられている説は違うようですが、色々な説があって面白いですね。「そうめん」を食べる習慣は平安時代から今日まで続いている「食育」ではないでしょうか。

7月7日はそうめんの日だそうです。これからも忘れずに守って行きたい文化(食育)ですね。そうめんを食べる結果論は「病気をしないで元気に過ごせるように」。女の子には「そうめんを食べれば、裁縫が上手になるよ」と言い聞かせれば納得してくれるかもしれません。
松岡 正 松岡 正

郡山ビューホテル株式会社料理長 群馬県出身、1987年より前橋東急インホテルに勤務。1990年からフランスで1年間修行をつみ、1991年高崎ビューホテルへ勤務。2000年から郡山ビューホテルへ勤務し、2006年には現職に就任。フランス料理会の名誉とされる日本エスコフィエ協会ディシプルを受賞し、現在に至る。