特集

季節の野菜通信 vol.3

季節の食材をより楽しむため、郡山ビューホテルの松岡シェフが連載する「季節の野菜通信」。 今月は秋野菜についてお届けします!

栄養の高い旬の野菜を食べて、冬に備えよう

暑い夏が終わり、秋が到来してきました。秋と言えばスポーツの秋、芸術の秋そして食欲の秋ですね。夏の時季で体が疲労しているのではないでしょうか。
秋ならではの旬の野菜を食べて栄養をつけて冬に備えましょう。旬の秋には美味しく、ビタミンを豊富に含んだ野菜・果物・芋類が収穫され、健康推進に欠かせない栄養満点な食材が出まわります。

秋の海からの恵み

海の幸として秋を代表する魚と言えるのが秋刀魚です。秋刀魚は血液をサラサラにするEPAや脳の働きを活発にするDHAを含んでいます。秋刀魚のタンパク質は牛肉やチーズよりも質が優れているとも言われています。また、健康効果としては、秋刀魚は胃腸を温めて、消化を助ける効能もあるので、夏の疲れで胃がもたれるという人には、是非食べて頂きたいと思います。

次にアサリです。アサリと聞いてビックリする人もいるかもしれません。本来2月~4月が旬ですが9月~10月のこの時期に産卵期になるので身がふっくらとしてとても美味しく、低脂肪分と高いタンパク価が魅力なのが秋のアサリです。高血圧予防・動脈硬化予防・食欲増進などの予防対策に繋がると言われています。

秋の大地の恵み

「秋なすは、嫁に食わすな」と言うことわざがあります。意味的には、全く異なる2つの解釈ですが、私個人的には良い意味の方であって欲しいと思います。

なすは、全体の約93%が水分で食物繊維が多く注目すべきは、皮に含まれる二つの栄養素です。一つは、なす特有の色素成分ナスニンです。生活習慣病のもととなる活性酸素発生やコレステロールの吸収を抑える働きがあります。二つ目に、アントシアニン成分で、目や肝臓の向上させる働きや、血圧の上昇を抑える働きがあります。この効能を利用して、皮が柔らかく実が引き締まった秋なすで胃腸を整え冬に備えましょう。

次の大地の恵み食材は、芋類です。さつま芋も胃腸の働きに大きく関係する秋の食材です。カロテンが豊富でコレステロールに強い食物繊維を含んでいますので消化器系の働きを高めて胃腸を丈夫にする働きがあり、「食欲のない・・・」と言う人には効果的です。同じ芋類である里芋も食物繊維を豊富に含んだ食材で、便秘に悩む人には最高の食材とも言われています。カロリーが低いのでダイエットしたいと考えている人におすすめです。

秋の食材の中にはストレスや疲れをとったり、飲み過ぎに効果のある食材も有ります。その代表的な食材が銀なんです。銀なんはB-カロテンを豊富に含んでいて滋養強壮に効果があるとされ、漢方薬の原料にもされてきました。血圧を正常にする働きがあるとも言われています。最後に果物の柿はビタミンCを多く含み、一個食べれば1日に必要なビタミンを摂取できるそうです。さらにビタミンAや食物繊維も多いため動脈硬化や高血圧を防ぐ働きがあると言います。柿の効能で酔いざましの効果があるのは有名な話。お酒を飲み過ぎた後に食べると、肝臓の解毒作用を高めるそうですが、飲み過ぎには十分注意してください。
「旬の食材は美味しい」と言うだけではなく、その食材が持っている、栄養や働きを知って食材を選び調理すれば、もっと秋の味覚を楽しく食べる事が出来ると思いますので、チャレンジしてみてください。
松岡 正 松岡 正

郡山ビューホテル株式会社料理長 群馬県出身、1987年より前橋東急インホテルに勤務。1990年からフランスで1年間修行をつみ、1991年高崎ビューホテルへ勤務。2000年から郡山ビューホテルへ勤務し、2006年には現職に就任。フランス料理会の名誉とされる日本エスコフィエ協会ディシプルを受賞し、現在に至る。