インタビュー

次代を担う農業者vol.31

 今回は、双葉郡川内村でイチゴを栽培している遠藤元一さんにお話を聞きました。

 🌸広報誌12月号にも掲載されています🌸

 双葉郡川内村の遠藤元一さんは、ベジテック川内株式会社の代表取締役として2020年9月から川内ベリーファームでイチゴを栽培しています。遠藤さんは、祖父が兼業農家として同村内で葉タバコ・タラの芽・稲作等を営んでおり、幼い頃から農業と関わっていました。

 就農は考えていなかったそうですが、大学2年生の頃に東日本大震災が起こり、福島第一原発事故による放射能の影響で同村内の農業が厳しい状況になったことをきっかけに、農業について考えはじめたそうです。

 その後、完全に閉鎖された空間で放射能の影響を受けない「植物工場」なら同村で農業を続けられると思い、大学で研究し、卒業後、地元の植物工場に就職しました。その後3~4年間植物工場で働いていましたが、同工場で取り組んでいたイチゴの試験栽培に興味を持ち、2年間県外でイチゴの栽培を勉強後、同村で事業を立ち上げていた株式会社農(みのり)に就職して、現在の川内ベリーファームでイチゴの栽培をはじめました。2021年にはベジテック川内株式会社が設立し、今年代表取締役に就任しました。
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 地道にコツコツと作業することが好きな遠藤さんは、単純作業でありながら、花や葉っぱの生育状況を観察して作業をする職人のような面もあり、農作業は楽しいと話します。また、企業に勤めている時よりも自分で考えて自由に計画を立てることができる所もストレスがなく、自分に合っていると思うそうです。

 一方で、農業をやっていて苦労したことは、一般的な就農とは違い、企業内での新規就農であったため、様々な意見を取り入れながら進めるのが難しかったことです。経営のノウハウもないまま従業員の上に立つ立場になったため、作業分配に最初は苦労したそうです。

 また栽培面では、受粉のために使用する蜂や資材等、環境に合うものを探すことに苦労したと話しました。様々な資材を試しながら合うものを探し、現在は安定しているそうです。
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 イチゴ栽培のこだわりは、かん水の回数を増やし少量ずつ水を与え、農産物のストレスを減らしてしっかりと水を吸収させること。1日に8回程度かん水を行い、その中に液肥を入れているそうです。また、温度・湿度・CO2の管理システムを導入し、常にイチゴの生育を観察しています。

 遠藤さんの栽培するイチゴは、同村内やJA直売所で販売されているほか、市場などにも出荷しています。
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 休みの日は農作業系のゲームや、洋画鑑賞などをすることが好きだと話す遠藤さん。これからの夢や目標について

「来年からはイチゴ以外にも果樹関係の品目を増やしたいと考えており、今年から桃の試験栽培をしている。また、摘み取り体験など観光農園だけではなく、幅広い世代の方が一緒になって農業をひと通り学ぶことができるような、体験学習の場を提供していきたいと考えています。特に、若い世代の方には農業で独立できるようなお手伝いをしたいです」

と話してくれました。
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企画部・人見 企画部・人見

JA福島さくら本店・企画部企画課の人見です。 みなさまの生活に役立つ情報をお届けしてまいります!