特集

季節の野菜通信 vol.2

季節の食材をより楽しむため、郡山ビューホテルの松岡シェフが連載する「季節の野菜通信」。 今月は夏野菜についてお届けします!

フランス式食べず嫌い克服法

野菜をしっかり食べていますか?近年では子供たちだけでなく大人までも野菜嫌いの人が多くなってきています。多くの人が子供の頃一度食べただけでそれからずっと野菜嫌いを直せないまま生活をしてきてしまったからだそうです。私の職場(調理人)でも野菜嫌いなスタッフがいます。嫌いな理由としては、苦味が強い・刺激が嫌い・匂いがきつい等、色々な理由を言って食べないですね。

今回は、この野菜嫌いをおのようにして克服するか私自身の経験談を基にお話しさせて頂きます。なぜ?どうして?嫌いかを聞いたところ、子供のころ食べて美味しくなかったから、お母さんが食べないから等の答えがありました。好き嫌いをなくすポイントは「ずっと嫌いと思い込ませない」「無理をさせない」「継続してアプローチする」この基本が大切だと思います。まずは「とりあえず一口」に挑戦しましょう。中にはちょっとだけ食べたくないかも、食べたことがないから食べるのが嫌いかも、など気分的なものや、食べず嫌いなものもあると思います。「嫌い」と言われたら、まず一口食べてみてと促しましょう。無理をさせずに食べたら褒めてあげる方法はかなりの効果が期待できます。私もたくさんのお客様の料理を作ってきました。生野菜はダメだけど、炒めたり、ボイルや煮物にすれば大丈夫と言うお客様もいます。このことから調理法を変えれば食べることが出来たと気づきました。嫌いな食材は調理方法を変えて食卓に出し続けることで、ある日突然「食べてみてもいいかな」と食べてくれる日がやってくるかもしれません。現実に料理人も毎日毎日味見をしてるうちに嫌いな食材を食べられるようになっていますので。

次に自分で作った物は「美味しい」と感じさせることの大切さを教えましょう。私も、スタッフに苦手な食材を使って料理を作らせる事があります。初めはイヤイヤ作っていましたが、何度か作っているうちに苦手意識が無くなり「美味しい」料理を作ることと、嫌いな食材を克服する事ができました。子供に少しでもいいですから料理作りを手伝わせて、嫌いな食材に触らせ一緒に食べることも大切かもしれません。「今日は〇〇○ちゃんが作ってくれたよ」と褒める言葉もいいと思います。

「フランス式食べず嫌い克服」法を少しだけお話しします。現地の学校で「食育」の勉強を見学してきて日本と似ていましたが、少し変わった面も見られました。

「野菜嫌いを克服」夏野菜を食べよう

①お料理に盛り付けてある料理は最低一口味をみさせる。

どんなに嫌いな食材でも必ず一口は食べる習慣を身につけさせる。味見は子供の味覚を広げて、将来食べる楽しみを増やすことにつながるから。

②「食べなさい」と強制せず楽しく食べ物の話をする。

見た目・食感・音・香りなどの話しをして興味をもたせて食べさせていました。

食材を細かく切り込んで混ぜたりしない。

日本だと「栄養」のために食べさせることばかり考えていて義務的に考えがちですが、フランスでは「食べることの豊かな楽しみ」を考えさせることが目的の為、何を食べているのかをしっかり見せたうえで食べる楽しみを教育していました。

日本とフランスの食文化の違いはありますけど、どこの国でも食べず嫌いを克服することは簡単にはいかないことが分かりました。子供たちの将来を考えられたら我々料理を作る人が根気強く頑張っていくしかないのかもしれません。将来の子供の為、生産者のみなさんの為にも我々料理人が中心となり、食育の一環として、これからも「食べず嫌いの克服」に貢献し「美味しい」野菜を提供していきたいと思います。
松岡 正 松岡 正

郡山ビューホテル株式会社料理長 群馬県出身、1987年より前橋東急インホテルに勤務。1990年からフランスで1年間修行をつみ、1991年高崎ビューホテルへ勤務。2000年から郡山ビューホテルへ勤務し、2006年には現職に就任。フランス料理会の名誉とされる日本エスコフィエ協会ディシプルを受賞し、現在に至る。